アメリカでのTMS治療体験談

<概要>

【TMS治療前→治療後の症状変化】

・朝起きることが難しい→ほぼ毎朝すっきり起きて行動できる

・気持ちが不安定になりがち→不安定になるときもあるがおおむね改善

・読書や調べ物などが難しく、集中力が続かない→読書ができるようになった。うつ発症前のように何時間も集中して読めるようになった。調べ物も、完全に元通りではないが、できるようになった。

・疲れやすく、一日中外出するのは困難→一日中外出して活動できるように。(これはTMSの効果だけではなく、TMS技士の方のアドバイスで始めたジョギング・筋肉トレーニングの効果もあると思います)

 

【費用】(治療費以外は2人分、約10週間)

治療費 TMS・診察13000ドル 通訳1000ドル 脳波検査1000ドル 血液検査600ドル 薬(アメリカで処方)200ドル 事前Skype診察 270ドル

住居費 3000ドル(ホテルではなく家具付きアパートを借りました)

生活費 3200ドル(ほぼ自炊、節約生活です)

渡航費(往復)220000円(EVA航空)

その他 カイロプラクティクス(2人×12回)800ドル

 

<TMS治療までの流れ>

【TMSを受けようと決める】

アルバイトができるくらいには回復したもののそれ以上よくならず、どうしようと悩んでいるところ、義母(当時は恋人のお母さん)が、TMSのことを調べて教えてくれました。私が悩んでいるのを見て、うつ病の治療法について色々調べてくれていたようです。たくさんのWEBサイトを印刷した物を見せてくれ、問い合わせてみようかと勧めてくれました。

 

【TMSを受けられるクリニック探し】

アメリカでの治療を決断する前に、日本で受けられる可能性があるとWEBサイトで読んだ日本の医療機関に問い合わせをしました。杏林大学病院と新中野FKクリニックです。しかし、杏林大学病院は、受け入れ不可(私の場合、もうすでにかなり回復していたため)かつ、仮に受け入れられても治験の為数回しか受けられない、新中野FKクリニックは当時(2012年)TMS治療自体をもう行っていないとのことでした。そこで、海外も視野に入れて再度調べたところ、ニューヨークに日本人スタッフがいるTMSクリニックがあることが分かり、メールで連絡を取りました。

 

【渡米前のテレビ電話診療】

Skypeのテレビ電話を通じ、受診を行いました。これは、日本の心療内科・精神科の初診と同じような内容を聞かれました。うつになった時期や原因、今までの治療についてなどですね。日本人スタッフの方が同席して通訳してくれます。私は日常会話程度の英語は話せるのですが、テレビ電話越しだと接続の問題もあってかうまく聞き取れないことも多く、通訳してもらって助かりました。

このテレビ電話診療は事前にメールで時間を決めて行うのですが、直前に先生に急患が入ってキャンセルになったりとすんなりいかず、「精神科医なのに急患なの…?本当に大丈夫か…?」と心配しましたが、実際行って治療を受けてみると、先生もスタッフも一生懸命治療をしてくださる、とても良いクリニックでした。(実際、先生は往診の患者も抱えているお忙しい方で、本当に急患に見舞われることの多い方でした。)

 

【渡米前の検査】

アメリカの医師の指示により、健康診断、血液検査を事前に日本で行い、結果をスキャンしてメール添付で送りました。こういった検査はアメリカで行うと費用が高くつくようです。

 

【ニューヨークでの治療】

-クリニックの雰囲気

ニューヨークの住宅街にクリニックはありました。日本でいうマンションが立ち並ぶ中の一室で、1階と2階(メゾネットタイプ)でした。共通の廊下からではなく、外から直接入れるような独立した形の入り口でしたが、看板も何もなく、初日は辿り着くのに苦労しました。中はメゾネットタイプになっていて、1階は事務室・待合室・TMS室・診察室2部屋があり、2階は簡易ベッドのある部屋など3部屋ほどあったように記憶しています。治療は1階で行われ、2階に行くことはほとんどありませんでした。

待合室はソファーがあり、雑誌や新聞(英語)が置いてあります。

患者は、私が待合室で見かけた限り、日本人半分、その他(おそらくアメリカ人)半分、といったところでしょうか。日本人の方はみなさんTMS治療を受けるために日本から来た方ばかりでした。

このクリニックは、二人医師がおり二人ともアメリカ人男性です。私の主治医は60歳~70歳くらいに見えるアインシュタインのような風貌のおじいちゃん先生です。とてもお茶目でフレンドリーな先生ですが、スタッフの方に聞いた話によると、この先生は臨床だけではなく研究でも実績のある凄い先生なのだそうです。主治医ではないもう一人の医師は40歳ほどの背の高い男性で、挨拶や世間話程度しかしていないので詳しいことはわかりません。

スタッフは全員日本人女性でした。私が治療を受けていた当時は、TMS治療に大変詳しい技士の方(現在はヘッドハンティングされて別のクリニックに移っています)と、薬に詳しい看護師経験のあるスタッフの方が中心となり、さらに数人のスタッフの方がクリニックを支えていました。皆さんとても親身になってくださり、治療のことだけではなく、ニューヨークでの生活についても情報やアドバイスをくださりとても助かりました。

 

-治療

1回40分のTMS治療を全部で34回受けました。(通常は36回だが、私は回復が顕著にみられたので早めに切り上げました)

初回から26回は毎日1回TMS治療を受け、その後週3回を2週間、週1回2週間というふうに間隔を空けました。磁気刺激は回数を重ねるごとに強くしていきます。

TMS治療の前に毎回、体調や気分についてのチェックシートを記入します。TMSを受ける前、もしくは最中に、そのチェックシートの内容について問診を受けます。

歯医者のような椅子に座り、頭に器具をセットして、治療は始まります。頭をバチバチと輪ゴムで弾かれるような痛みを感じますが、耐えられないほどではありませんでした。治療を始めて一週間ほどは、治療直後に頭痛を感じたりもしましたが、回数を重ねるにつれなくなりました。治療に慣れてくると、TMS治療を受けながらDVDを見たり、任天堂DSの脳トレをしたりしました。というのも、TMS中に脳を使うと、さらに脳が活性化され、相乗効果が期待できるのだそうです。

 

-効果

初めの20回の治療中、私は少しずつ回復を実感しました。それまで本を読むのは数十分が限界でしたが、TMSを20回受ける頃には数時間読めるようになっていました。TMSを受けて、まず初めに集中力が回復したのです。しかし、体力は依然戻らず、クリニックと自宅を往復するのが限界で、スーパーやコンビニに少し立ち寄ると目眩がし、体から力が抜けてしまう状態のままでした。

そして、21回から25回にかけて、私の病状はより速く回復しました。26回目のTMSを受けた際に、運動を始めるように助言されました。運動を始めると、さらに加速度的に私の病状は回復しました。運動といっても、軽い筋肉トレーニングと15分程度のジョギングだけなのですが、つい2週間前まではスーパーにも立ち寄ることができなかったのに、一日中外出して活動することができるようになったのです。

その後34回までTMSを受けました。TMSによる治療を終え、日本に帰国した後も、日々気力・体力ともに回復し続けています。

 

・診察

週に一回程度の診察がありました。体調や気分についての問診があり、場合によっては薬を処方されました。診察はもちろん英語で行われるのですが、日本人スタッフが通訳してくれます。私は通訳代節約のため、途中から通訳なしで診察を受けました。先生の英語は割と分かりやすいので、日常会話程度の英語が可能な方なら通訳なしでも大丈夫かもしれません。

 

・脳波検査

脳波検査は、アメリカでの主治医の先生とはまた別の専門の先生が行いました。この先生は週一回程度クリニックに来ているそうです。脳波検査により、脳のどの部分の機能が低下しているのかが分かり、その部分に重点的にTMS治療を行うことができます。私はTMS治療を始めて一週間ほどしてから脳波検査を受けました。

頭にジェルを塗り、電極を装着して検査は始まります。電極は頭にピンチで止めるような形で、一つ一つは軽いですが、10数個ほど装着するので結構重く感じます。検査中は特に痛みなどはなく、何も感じません。目を開けた状態と閉じた状態の脳波を検査します。

検査は大体一時間ほどで終わり、結果は2週間ほどで出ました。

検査結果としては、前頭葉の活動が低下しており、やはりまだうつ病状態であるとのことでした。特に、右脳と左脳の相互接続がうまく行えなくなっており、そこに余計なエネルギーを使うために体も頭も疲れやすくなっていると言われました。

この結果を受け、TMSで磁気を当てる場所を調整していただきました。また、脳検査の先生のアドバイスをもとに、右脳と左脳の接続を鍛える運動(下に詳しく記述)を毎日行いました。

本当はTMS治療がすべて終了した後にもう一度脳波検査をして効果を比較するのがよいのですが、脳波検査は1回1000ドルと高額のため、実感としてうつ病の回復を感じていた私は再検査をしませんでした。

 

・その他 減薬 運動 読書 カイロプラクティック

-減薬

アメリカでのTMS治療7週目あたりから、減薬に取り組みました。アメリカの医師の指示の下、サインバルタ20mg, レクサプロ5mg → サインバルタ0mg, レクサプロ5mg に減らすことができました。詳しくは<リンク>回復期 減薬

 

-運動

アメリカでは、TMS技師の方のアドバイスを受け、以下のような運動を始めました。

・ジョギング15分(週2,3回)

初めは1分で息切れしてウォーキングに切り替えていましたが、徐々に走れるようになってきました。

・筋肉トレーニング(毎日朝晩)

腹筋、背筋、腕立てを全てゆっくり5回ずつです。慣れてきてからは10回ずつに増やしました。

・右脳と左脳の接続を鍛える運動(毎日1回)

脳波検査の先生のアドバイスを受けて、立った状態から、「右ひざを上げて左手でタッチ→左ひざを上げて右手でタッチ」を一定のスピードで1分ほど繰り返すという運動を行いました。私はよほど右脳と左脳の接続が弱くなっていたのか、違う手が出てしまったりスピードが崩れたりと、最初は全然うまくできませんでした…。でも、慣れてくるとスムーズにできるようになりました。

関連<リンク>回復期 運動

 

-読書

うつ病になる前は読書好きだったのですが、発病後は小説でも30分程度が限界でした。しかし、TMSの効果が出てきてからは、また本をよく読むようになりました。調子が良い日は1日に小説を3冊読んだこともあります。

ニューヨークのマンハッタンには日本のブックオフがあり、日本語の中古本・漫画・雑誌が数多く取り揃えてあります。私は日本の小説1ドル均一コーナーから毎回10冊程度購入し、家や電車で読みました。近くには紀伊国屋書店もあり、そちらにも日本語の本が多数揃っています。

 

-カイロプラクティック

整体の一種で、骨や神経や内臓を正しい位置に戻してやるのが施術の目的なんだそうです。TMS技師の方の友人のカイロプラクティック師に施術していただきました。カイロプラクティックは初めてだったのですが、1回の施術でも非常に体がすっきりし、軽くなります。首の関節をボキッと動かしたりするので最初は怖かったですが、効果は絶大でした。夫も施術を受け、体のだるさが取れたと喜んでいました。このカイロの先生は博士号もお持ちのれっきとしたドクターで、カイロプラクティックの仕組みや家でできるストレッチの方法など色々教えてくれました。

 

【ニューヨークでの生活】

-住居

住居を選ぶ際には日系の不動産業者を使いました。

重視したのは治安とクリニックへの通いやすさです。最初の10日ほどはマンハッタンのアッパーイーストサイドにワンルーム(といっても20畳くらい、広い!)に住み、その後はクイーンズのアパートに移りました。クイーンズのアパートは4畳ほどの独立型キッチン、20畳ほどのリビングダイニング、8畳ほどのベッドルームがあり、かなり広々していましたが、マンハッタンのワンルームよりも家賃は安いです。周辺のスーパーマーケットなどでの物価も、マンハッタンに比べると3分の2程度と安く、暮らしやすかったです。クリニックはマンハッタンにあるのですが、クイーンズのアパートからも電車の便がよかったので、片道20分ほどで通うことができました。

 

-食事

食事はほぼ自炊しました。ニューヨークには世界各国の料理が集まっていますが、外食費が馬鹿にならないのです。というのも、メニューに載っている値段自体は日本のレストランとあまり変わらないのですが、チップ(15~20%程度)が加算されるからです。10ドルのメニューを頼んでも、結局12ドルになりますね。2人だと結構な差になります。

基本的に主食はお米、パスタ、パンを食べました。タイ米ではなく粘り気のある日本のお米が食べたかったので、日本食スーパーで、日本のお米を買いました。日本食スーパーにはワサビや海苔、うどんなど、日本の商品が売っています。パスタは普通のスーパーの特売日を狙い多めにストックし、パンは1週間に1度か2度、近所のパン屋で買っていました。パンはスーパーでも安く売っていますが、やはりパン屋の方が断然おいしいですね。

ニューヨークの食品の物価は日本とあまり変わらないか、物によってはこちらの方が安いくらいでした。例えばチーズやぶどうは安く沢山買えました。ただし、マンハッタンのスーパーは全体的に高いです。

ニューヨーク滞在中に夫が料理に目覚め、色々作ってくれ大変助かりました。

 

【観光】

クリニックは移動も含め毎日2時間程度でしたので、体力が付いてきてからは観光もしました。ニューヨークはお金をかけずに観光できるスポットやイベントがたくさんあります。私は海外のフリーマーケットを見るのが好きなのですが、ニューヨークでも土日にはたくさん開催されていました。特に、ブルックリンの「ブルックリン・フリー」というフリーマーケットは、アーティストのハンドメイド作品もたくさん出ており、手作り好きの私にはたまらないマーケットでした。

また、スーパーマーケットやドラッグストア、雑貨屋・洋服屋を見て回るだけでも楽しいです。日本にはないポップな商品がたくさんありますからね。

さらに、芸術鑑賞も楽しかったです。MOMA(ニューヨーク近代美術館)は2012年当時、金曜日の午後4時以降は入館無料だったので、そのタイミングで何度も行きました。そのほかの美術館も、料金が$○○(Suggested)となっている場合は任意支払いなので、○○ドルも払わず、数ドル払って堪能しました。特定の曜日・時間帯のみ料金が任意(Suggested)になる美術館もあるようです。また、ニューヨークといえばミュージカルですが、TICKETSというNPOが余った当日券を最大半額で提供しているので、そちらを利用して「シカゴ」と「オペラ座の怪人」を鑑賞しました。

 

地球の歩き方(ニューヨーク)があると、観光が捗ると思います。

B06 地球の歩き方 ニューヨーク 2013~2014

 


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アメリカでのTMS治療体験談」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 2013年6月4日 TMS治療専門クリニックが新宿にオープン | TMS治療体験者による うつ病克服への道標

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